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恭介がこわい。
寝る前にマックに行こうと騒いで強引に連れ出したからか、自転車の後ろで背中に文字を書いて遊んでいたからか、それとも上り坂で息を切らしているときにしりとりしようと持ちかけたからか、……どうしよう、怒られる要素しか思いつかない。でもいつもの恭介ならどれも笑って(というか呆れ気味に苦笑して)流してくれるものばかりだし、実際、その場では「やめなさい!」とか「子供か!」とかツッコまれただけで何も無かった。
汗かいたからシャワーしてきます、と言い置いて母屋の方に行ってしまったので、おれはとりあえず袋を揺らさないように気をつけながら恭介の部屋にひとりで戻って反省会をしているところだ。普段ならお代にお背中お流しいたしますとか冗談のひとつも言う(そして怒られる)けど、今日の恭介はなんだか本気でこわいので何も言えなかった。
恭介に怒られたことはほとんどないから、なんだか困ってしまう。もちろん軽く呆れられたりはたかれたり突き放されたり、というのはよくあるけれど、あくまでも話の流れでそういうポーズをしているだけで、本気で怒っているわけじゃない。風邪をひいたときに怒鳴られたけど、あれは原因がはっきりしていた。今回はさっぱりわからない。
もう顔見たくないから帰ってくださいとかこのまま追い出されたりして。それだけならまだしも、もう来ないで下さいって言われたりしたらどうしよう。
謝った方がいいのかな。でも何で怒られてるのか原因がはっきりしないからなあ。
「……何してんすか、正座なんかして」
「うわあごめんなさい!」
考えがまとまる前に恭介が戻ってきてしまった。どうしよう。
「先輩もシャワー行ってきますか」
「え、あ、え、い、いいの?」
「どうぞ。タオルと着替え後で持って行きます」
「わ、わーい……」
頭を拭きながら座ってコーラを飲む恭介はすっかりいつもどおりだった。切り替えがうまくいかずに混乱する。
「あの、……恭介くん?」
「はい」
「さっきまでおこっ……怒ってなかっ、た?」
「怒ってた気がするんですけど、なんかシャワー浴びたら忘れました。すいません」
「……う、うん」
あまりにも恭介があっさりしているので、それ以上訊けなかった。
(……さっき結構怒ってた気がするんだけどな……)
「どうしたんですか?」
「な、んでもないよ」
「そっすか」
なんとなく腑に落ちないけど、まあ、もう怒ってないらしいからいいことにしておこう。
恭介に嫌われてなくてよかった。
Fin
20081221sun.u
20081221sun.w
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